家が高価であることは、ごく当たり前の事実であり、高価だからこそ大切にしたいという気持ちが育まれるとも言えます。高級外車を所有しているのに、ガレージから出そうとせず、時々エンジンをかけて姿と音を楽しんでいる贅沢な人もいれば、スイス製の高価な腕時計を愛玩道具として化粧箱にしまい込んでいる人もいます。しかし住宅をどこかに保管しておくわけにはいきません。家の外壁は常に日光や風雨にさらされ、室内にはカビが繁殖したり、ちょっとしたことで傷ついたりします。
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大切なものが傷つくのもいたたまれませんが、それを防止するためにいつも慎重な暮らしをしていたのでは窮屈でしょう。それにどんなに気をつけていても、住宅はいずれ劣化し、修繕を必要とする時間を迎えます。居住空間を清潔に保ちたいと考えるのは、おおむね誰もが望むことであり、どんな家庭でもこまめな清掃を心掛けているはずです。しかし、家のメンテナンスとなればどうでしょう。道具も掃除機や雑巾だけでは足りません。従来の日本家屋であれば、障子・襖の張り替えから始まり、畳の虫干しや天井のすす払いなど、師走の大掃除といえば一家をあげての大仕事でした。ところが、そういう暮らしを面倒に思う人たちがあらわれ、傷つけない慎重な暮らしではなく、そもそも傷つきにくい建材を選ぶようになりました。樹脂やプラスチックを多用したいわゆる新建材が好まれるようになったのは、こうした背景に加え、天然素材に比べてはるかに安価であるという事情があったのでしょう。