ガーターで留めるポーズの色だが、肖像画の類を見るかぎりでは白が圧倒的に多い。ルネサンス期は色や柄の異なるものを左右片脚ずつ履くバルディというスタイルが流行し、上流階級者たちはそれを競ったものだった。しかし、今日のドレスコードでは、白いポーズはパーティーかフォーマルのときに着用するものであり、バルディでは変人扱いされかねない。ビジネスシーンではグレイかネイヴィー、せいぜいバーガンディー(落ち着いた赤ワイン色)、スポーティーな場面でブラウン系やグリーンなどが相応しいとされる。狩猟をするとき、秋はブラウン、春はグリーンとジャケットの色も決まっていて、それに倣ってのものだろう。さらに、ドレッシーになればなるほど、靴下の目は絹かくなる。フォーマルウェアでは薄いシルクかコットンライル、ビジネスウェアなら細いリブ編みのウールかコットン、という具合だ。ビジネススーツに白いスポーツソックスは不適当だし、逆にトゥイードのジャケットにシルクやコットンライルを合わせることも避けたい。フォーマル用にシルクか極細番手コットンで白、グレイ、ネイヴィー、黒を揃え、ビジネス用にネイヴィーとグレイを抑えて、各色を揃え、カントリーサイド用にアーガイルのものなどを加えたいものだ。
SPAブランドが週単位で変化する小売店頭のサイクルに合わせるための生産系ビジネスモデルを軌道に乗せるということである。それには素材メーカーや縫製メーカーなどとの協働によるプロジェタトが不可欠であり、現在、縫製工場八社をWP2の認定工場に指定、本格稼動している。加えてクラボウ津工場内に、一貫生産モデル(ワールドインダストリー津)を稼動させている。この一貫生産モデルは素材の開発・生産から織布・染色、縫製・物流まで物の流れの全体を店頭情報を共有化、それを起点に一体的なネットワークに組み立てるというものだ。現在、WP2に参加する企業は公募制になっている。参加企業は二〇〇社以上に達している。このうちすでに取引しているのが一七〇社という。
イタリアのある仕立職人は「フォーマルなコートをきちんと着てしまうほど野暮なことはない、袖を通さず羽織るべきだ。そう、ちょうどマントのように」と言ったものだった。注意を払わないと言えば、日本の政治家もオーバ・コートを軽視しているような印象を受ける。薄っぺらなコート姿があまりに目立つ。以前、ヴェネツィアで昔ながらのマントを仕立てているアトリエを訪ねたおり、どうしても欲しくなって手に取ったものがあった。店主はこちらの職業を訊ね、それから首を横に振った。「残念だが、それはあなたが着るマントではありません。それはかつてヴェネツィアの外交官が着たマントです」いまだに、この買えなかったマントのことが気になっている。