いまの時代は能力主義が優先され、転職への考え方が違ってはきたが、それでも現職と失業者の与える印象の違いは無視できない。給与や職位の交渉では、現職は強気で押せても、失業者ははるかに不利になってしまうわけだ。これだけでみても、転職先を決めてから辞めたほうが得なのはあきらかだが、それだけでなく、まだ有利な点がある。それは生活への不安を経験しないですませられる、ということで、このメリットも大変大きい。辞めてから探す例では、まず預金を食いつぶし、退職金や雇用保険に生活を頼り、それでも転職先が決まらないであわて出す人が絶えない。身入りのない状態が続くと、しまいには「給料をもらえればどこでもいいや」という。とりあえず転職に走る。精神だけでは、飯は食えないのだ。とりあえず勤めるところ、別の言い方をすればすぐにでも勤められる会社にいいところはない。しかも、三十五歳を過ぎていると、次に転職したいと思っても条件はひじょうに悪くなってしまう。その結果、坂道を転がるように悪いほうへいってしまいかねないのである。
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